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令和元年度調査研究のトピックス(2)

地磁気絶対観測の自動計測試作器の改良に向けた調査

研究代表者:平原 秀行

地磁気観測は、地磁気変化を自動で観測する連続観測と、それを較正するための絶対観測から成り立っています。絶対観測は、柿岡では約1週間に1度、職員が手動で行っています。絶対観測をするときは、職員は磁性物(磁石に反応するもの。例えば、メガネやベルト)を身に着けず、磁気儀と呼ばれる器械を高度な技術で操作します。

 絶対観測を自動で行なうことができれば、観測の頻度をあげることができ、連続観測値の精度向上などが期待できます。私たちは絶対観測の自動化を目指し、開発に向けた調査を実施しました。

 現在、地磁気観測所で行われる絶対観測には、「ゼロ磁場方式」と呼ばれる方法を用いています。これは高い技術と非磁性の格好を必要とする観測方法です。絶対観測の自動観測装置でゼロ磁場方式を採用するには、多くの技術的な問題点を伴います。

 そこで、私たちは「弱磁場方式」と呼ばれる絶対観測の方法に着目しました。弱磁場方式は、近年、世界的に主流になりつつある方法です。高度な操作技術を必要とせず、また磁気儀から離れて測定するため磁性物もあまり気にせずに済みます。
 この方式を自動計測に応用すれば、絶対観測の自動化が実現するかもしれません。

 私たちはまず弱磁場方式の調査をしました。職員がドイツのニーメック観測所やフランスのシャンボンラフォレ観測所に訪問し、弱磁場方式による絶対観測の調査をし、磁気儀の操作手法を習得しました。
 そして、柿岡で複数の職員に弱磁場方式を習得させ、絶対観測をしてもらいました。その結果、観測精度が許容範囲内であることがわかり、弱磁場方式の有用性が確認されました。

 今後は、弱磁場方式の観測精度や自動観測装置への応用など、さらに調査を進めていきます。


図

図 弱磁場方式によって得られた偏角成分の器差(破線は部内検定での器差)




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