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研究代表者:平原 秀行
地磁気短周期変化は、通信衛星などの情報化社会を支える施設に大きな障害を与える可能性があり、その対応の一助となるよう地磁気短周期現象の特徴やそれらの情報の有効利用について調査しています。ここでは、地磁気短周期現象データベースの品質の向上を目標に実施した現象の明瞭度であるクオリティ基準の検証について紹介します。 〇地磁気短周期現象の統計的調査をもとにクオリティの基準を検証 地磁気観測所(以下、当所)では、地磁気短周期現象について、当所で定義した基準に基づいて現象のクオリティ判別をしています。 ここで取り上げるsiとsscと呼ばれる地磁気の急峻な変化現象(以下、現象)は、発生過程が同様であるにも関わらずそれぞれ異なる基準を用いていました。またその基準は、現象前後の地磁気の乱れ具合を考慮しており、その乱れ具合の判別に主観が入るなどあいまいさがあったため、判別の仕方によってはクオリティが異なる問題がありました。 そこで、1999年から2016年に観測した現象についてクオリティ基準を現象の変動幅のみで判別しなおし、公表しているクオリティと比較しました。 その結果、これまでのクオリティは、siがsscよりも相対的に低く見積もられていることが判明しました。しかし、変動幅のみで定義したクオリティでも、クオリティの存在比を大きく崩すことがなく、十分使用できることがわかりました。これからは、あいまいさを除いた基準を使用することにより、客観的な現象のクオリティ判別を行うことができるようになります。
表 新しいsi及びsscのクオリティ判別基準(ただし、AとBは変化度が3nT/min以上)
図 1999年1月から2016年12月までの柿岡、女満別、鹿屋のsi及びsscのQuality分布