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大地にはいろいろな原因による微弱な電流が流れていますがこれを地電流とよんでいます。地電流の観測は地中に電極を埋設し、2つの電極間に生じた電位差を測定します。地電流は地磁気変化や地殻の活動などの自然変化に伴って変化することから、地下構造探査はじめ様々な分野で利用されています.
−地電流観測の模式図−
太陽などからの相互作用により電離層や磁気圏に電流が流れると地磁気が変動し、地中には地磁気変化を打ち消す方向に地電流が誘導されます。
−柿岡で2003年2月に観測された、地磁気の北向き成分(赤)と地電流の東西成分(緑)−(短周期の変動に注目すると、直交する方向の地磁気と地電流の変化は関係があることがわかる。)
地磁気の変化に伴いどのような誘導地電流が地中に生じるかは地下の電気の流れやすさによるため、原因である地磁気変動と結果である地電流変動を組み合わせて、地下の電気的性質を推定することができます。この手法は地磁気地電流法(Magnetotelluric法)と呼ばれ、地下資源探査や断層・火山・プレートなどの地下構造探査に広く使われています。
地震や火山などの地殻活動が活発なところでは、応力変動・地温変動・地下水変動などにより電気的な変動が生じると考えられています。
地殻活動に伴って地温変動や水・物質の移動が起こると、地下の電気的な性質が変化し比抵抗(地電流変化と地磁気変化の比)が変化することがあると報告されています。このような比抵抗変化は一般に微小なため、自然の電磁場変動を用いた観測の精度では検出が難しく、地面に人工的に電流を流す手法が多く用いられています。
地電流の直流成分は自然電位と呼ばれ、超高層の変動に起因する誘導電流とは区別されます。自然電位変動の原因には、地下水の流れによる界面動電現象を反映した流動電位が挙げられます。そのため自然電位は、応力が変化している地震断層や、マグマによって熱せられたり押されたりした地下水系が存在する火山で、地下の状態を推定するための観測種目の一つになっています。